なぜ木は、わざわざ赤い色素を作るの?
まず、答え
じつは、はっきりとはわかっていません。葉を守る日よけではないか、という説が有力です。
どうして?
黄色の紅葉と赤の紅葉では、起きていることがちがいます。イチョウの黄色は、もともと葉にあった色素が、緑がぬけたことで見えてきたものです。かくれていた色のおひろめで、木は何もしていません。
ところがカエデの赤は、秋になってから新しく作られた色素です。これから捨てる葉のために、わざわざ材料とエネルギーを使っている、ということになります。捨てるものにお金をかけるのは、変な話です。だから研究者たちは、それでも作る理由があるはずだ、と考えてきました。
もう一歩
有力な説のひとつが、日よけ説です。秋の葉は、寒さのせいで栄養を作るはたらきが弱っています。そこへ強い日光が当たると、葉は傷んでしまいます。赤い色素が日よけになって光をやわらげれば、傷むのを遅らせて、葉の中の栄養を最後まで回収できる、という考えです。
もうひとつは、虫よけ説です。秋に卵を産みに来る虫に対して、赤い色が「この木は元気で、守りが強い」という合図になっている、という考えです。
どちらの説にも、それを支える観察があります。けれど、どちらか一方に決まったわけではありません。木の種類によって理由がちがう可能性もあります。毎年あたりまえのように見ている紅葉に、まだ答えの出ていない問いが残っているのです。
へぇ、となる話
赤があざやかになる条件は、わりとはっきりしています。昼はよく晴れてあたたかく、夜はぐっと冷えこむこと。昼に作られた糖が、冷えた夜に葉から流れ出しにくくなって葉にたまり、それが赤い色素の材料になるからです。だから寒暖の差が大きい年ほど、紅葉は美しくなります。
身のまわりの同じしくみ
同じカエデでも、日当たりのよい南側の葉から赤くなる。同じ木でも、外側と内側で色がちがう。理由を考える手がかりは、目の前の一本の木にもあります。