火が通るって、どういうこと?
まず、答え
火が通るとは、食べものの中の温度が上がって、中身のつくりが変わることです。熱は外側から中へ、時間をかけて進んでいきます。だから、表面はもう熱いのに、中はまだ冷たい、ということが起きます。
どうして?
熱の伝わり方には、3つの道があります。
1つめは、じかに触れて伝わる伝導。フライパンから肉へ、なべ底からなべの中へ、というように、くっついたところから伝わります。
2つめは、あたたまったものが動いて運ぶ対流。お湯、油、オーブンの中の空気は、あたたまると動きまわり、熱をぐるぐると運びます。
3つめは、光のように飛んでくる放射。炭火やグリルにかざしただけであつくなるのは、目に見えない光が熱を運んでくるからです。
料理の道具は、この3つのどれを使うかで分かれています。
もう一歩
食べものの中では、温度によって決まった変化が順番に起きます。たんぱく質はだいたい60度から70度で固まりはじめ、でんぷんは水があると60度から80度あたりで水を吸ってやわらかくなります(糊化・こか)。かたい肉のコラーゲンは、水の中で75度以上を長く保つと、とろけるゼラチンに変わります。
つまり料理は「何度で、どのくらいの時間」を選ぶ作業です。強火にすればよいわけではありません。
もうひとつ大事なのが厚みです。熱が中心に届くまでの時間は、厚さが2倍になると4倍くらいに増えます。分厚い肉のまん中が生なのに外が焦げるのは、火が弱いからではなく、厚いからです。切って薄くする、蒸してから焼く、という工夫は、ここから生まれています。
へぇ、となる話
電子レンジだけは、この「外から中へ」のきまりから少しはずれています。マイクロ波が食べものの中の水の分子をゆらして、内側でも同時に熱を作るからです。ただし電波が届くのは表面から数cmほどなので、大きなかたまりのまん中は、やはり最後になります。
身のまわりの同じしくみ
目玉焼き、ごはん、おふろの追いだき、ストーブの前のあたたかさ。伝導・対流・放射は、台所の外でも同じようにはたらいています。