煮るって、どういうこと?なぜ味がしみるの?
まず、答え
煮るとは、水やだしの中で加熱することです。水があるかぎり100度をこえないので、こげる心配がなく、時間をかけて中までゆっくり火を通せます。そして味は、煮ている間よりも、火を止めて冷めていくときにしみこみます。
どうして?
なべの中では、あたたまった水が上へ、冷たい水が下へと動きつづけています。この動き(対流)が、熱を食材のまわりにまんべんなく届けます。
食材は煮汁の中にひたっているので、表面がかわきません。だから焼くときのようなこげ色も香ばしさもできませんが、かわりに、中までむらなく火が通ります。
もう一歩
同じ「煮る」でも、温度でまったく別の料理になります。
ぐらぐらとふっとうさせ続けると、食材がぶつかり合ってくずれ、煮汁がにごります。多くの煮ものは、表面がゆらゆらするくらい、80度から90度あたりを保つほうがきれいに仕上がります。
かたい肉やすじ肉がとろけるのは、コラーゲンが水の中で75度以上を長く保つとゼラチンに変わるからです。これは高い温度では代わりがきかず、時間でしか進みません。強火で短く煮ても、かたいままです。
味がしみるしくみも、はっきりしています。加熱中の食材はふくらんでいて、煮汁が入りこむすきまが多くありません。火を止めて冷めていくとき、食材が縮み、まわりの煮汁を吸いこみます。だから、いったん冷ますとおいしくなるのです。
落としぶたを使うのは、少ない煮汁でも全体に回し、味をむらなく入れるためです。
へぇ、となる話
おでんや煮ものが「一度冷ましてから、もう一度あたためるとおいしい」と言われるのは、迷信ではありません。冷めるときに味が入るという、はっきりしたしくみがあります。作りおきの料理がおいしいのには、ちゃんと理由があるのです。
身のまわりの同じしくみ
みそ汁、カレー、肉じゃが、おでん、シチュー。世界じゅうの煮込み料理が、この「100度どまりの、ゆっくりした熱」を使っています。