だしは、どうやってとるの?
まず、答え
だしをとるとは、材料の中のうまみを水に移す作業です。材料ごとに、うまみがいちばんよく出る温度と時間がちがいます。強く煮ればよく出る、というものではありません。
どうして?
こんぶは、水につけておくか、ゆっくりあたためて、ふっとうする前に取り出します。ぐらぐら煮ると、ぬめりが出て、にがみや生ぐさい香りまでいっしょに出てしまうからです。
かつおぶしは反対で、熱いお湯に入れて、さっと(1分ほど)で引きあげます。長く煮ると、うまみのほかに、えぐみやにごりが出てきます。
にぼしは、水につけて一晩おく方法(水出し)がいちばん失敗しません。頭とはらわたを取っておくと、にがみが減ります。
干ししいたけは、冷たい水でゆっくりもどします。急いでお湯を使うと、うまみが十分にできません。
もう一歩
うまみのもとは、材料によってちがいます。こんぶはグルタミン酸、かつおぶしやにぼしはイノシン酸、干ししいたけはグアニル酸です。
おもしろいのは、種類のちがううまみを合わせると、足し算ではなく、かけ算のように強くなることです(うまみの相乗効果)。こんぶとかつおの合わせだしは、この性質を使った発明です。
干ししいたけを冷たい水でもどすのは、グアニル酸が、水にもどっていく時間の中で、しいたけ自身の酵素によって作られるからです。いきなり熱いお湯を使うと、その酵素がはたらく前に止まってしまいます。乾かす、もどす、という手間の中に、うまみを作る時間が組みこまれているのです。
だしをきかせると、塩を減らしてもものたりなく感じません。うす味でおいしくするための、いちばん確かな方法です。
へぇ、となる話
うまみを水に移す技術は、日本だけのものではありません。フランスのブイヨンやフォン、中国の湯(タン)、西洋のスープストック。材料も呼び名もちがうのに、していることは同じです。世界のあちこちで、人は同じ答えにたどりつきました。
身のまわりの同じしくみ
みそ汁、うどんのつゆ、おでん、茶わん蒸し。和食のおいしさの土台は、たいていこの「水に移したうまみ」です。