料理の道具は、なぜあの形なの?
まず、答え
料理の道具は、熱をどう伝えたいかで形と材料が決まっています。すばやく高温にしたいのか、ゆっくり均一にしたいのか。やりたいことがちがえば、選ぶ道具もちがいます。
どうして?
金属は熱をよく伝え、木や土はあまり伝えません。だから、火に当てる部分は金属、手で持つ部分は木やプラスチックでできています。
なべの材料にも役割があります。アルミは軽くて熱がすぐ伝わるので、お湯をわかしたり、さっと火を通したりするのに向きます。鉄は高い温度まで上がり、その熱を保つので、焼く・炒めるのに向きます。土なべは、あたたまるのは遅いけれど、冷めるのも遅いので、じっくり煮込む料理に向きます。
中華鍋が丸いのは、材料を集めたり、なべ肌のいちばん熱いところに当て続けたりしやすいからです。フライパンが平らなのは、面でぴったり触れさせて、こんがり焼くためです。
もう一歩
道具は「熱の伝え方」だけでなく、「時間」や「水分」も設計しています。
落としぶたは、少ない煮汁でも全体に回し、味をむらなく入れるためのものです。すのこや蒸し器のすき間は、湯気を通しながら、食材をお湯につけないための工夫です。厚手のなべは、火を止めたあとも熱がのこるので、余熱で中まで火を通せます。
包丁もまた、熱の道具です。切り方で厚みが決まり、厚みで火の通る時間が決まるからです。乱切りは面を増やして味をからみやすくし、そぎ切りは薄くして早く火を通します。繊維に沿って切ればしゃきしゃき、直角に切ればやわらかい歯ざわりになります。切るという作業は、じつは加熱の設計の第一歩です。
へぇ、となる話
圧力なべは、ふたを閉じて中の圧力を上げ、水が沸騰液体が中から気体(あわ)になること。する温度そのものを120度くらいまで引き上げる道具です。「水は100度まで」というきまりを、圧力で書きかえてしまうわけです。かたい豆やすじ肉が短時間でやわらかくなるのは、時間の代わりに温度を使っているからです。
身のまわりの同じしくみ
なべ、フライパン、包丁、まな板、落としぶた、蒸し器。どれも道具の形の中に、昔の人が見つけた科学が入っています。