イタリア料理の味つけは、なにでできているの?
まず、答え
イタリア料理の味つけは、うまみをためこんだ食材(トマト・チーズ・生ハム・アンチョビ)と、オリーブオイルの香り、そして塩でできています。だしを取るかわりに、うまみの多い材料をそのまま使うのが特徴です。
どうして?
トマトには、こんぶと同じグルタミン酸といううまみ成分がたくさん入っています。チーズや生ハムやアンチョビも、熟成や発酵微生物が食べ物を、人に役立つように変えること。の間にうまみが増えた食材です。
だから、わざわざだしを取らなくても、これらを使うだけで、料理にうまみの土台ができます。トマトソースがそれだけでおいしいのは、トマト自身がうまみのかたまりだからです。
オリーブオイルは、香りを運ぶ役をします。にんにくやハーブの香り成分は油にとけやすいので、はじめに油で熱して香りを移し、それを全体に行きわたらせます。和食が水を使うところで、イタリア料理は油を使う、と考えるとわかりやすいです。
もう一歩
イタリア料理のうまみづかいは、うまみの相乗効果をよく使っています。
トマト(グルタミン酸)に、チーズや肉(グルタミン酸に加えてイノシン酸)を合わせると、うまみがかけ算のように強くなります。ミートソース、ピザ、トマトと肉の煮込みは、どれもこの組み合わせです。日本のこんぶとかつおの合わせだしと、じつは同じ理屈です。
パスタをゆでる湯に塩を入れるのは、麺そのものに下味をつけるためです。ソースだけで味をつけると、麺の中がぼんやりします。
シンプルな料理が多いのも特徴です。よい素材に、オリーブオイルと塩と、少しのにんにくやハーブ。足しすぎず、素材のうまみを引き出す方向は、じつは和食と近い考え方です。
にんにく、バジル、オレガノ、ローズマリー。ハーブの香りは、肉や魚のにおいをおさえ、料理に土地の個性をあたえます。
へぇ、となる話
いまではイタリア料理の顔になっているトマトは、もともとヨーロッパにはありませんでした。南アメリカから伝わったのは16世紀ごろで、はじめは毒があると思われ、観賞用でした。トマトソースが定番になったのは、それから200年以上あとのことです。定番は、はじめから定番だったわけではないのです。
身のまわりの同じしくみ
ピザ、パスタ、ミートソース、カプレーゼ、ミネストローネ。給食の洋食の日にも、トマトとチーズのうまみがよく登場します。