みりんとお酒は、料理でなにをしているの?
まず、答え
みりんと料理酒は、味をつけるためだけの調味料ではありません。つやを出す、くさみを飛ばす、煮くずれをふせぐ、味をしみこみやすくする。目に見えにくい仕事をたくさんしています。
どうして?
みりんは、もち米とこうじとしょうちゅうから作られる、発酵微生物が食べ物を、人に役立つように変えること。した調味料です。中には、こうじの酵素が米のでんぷんを分解してできた、いろいろな種類の糖が入っています。
さとうのあまさが1種類のまっすぐなあまさなのに対して、みりんのあまさは何種類もの糖が重なった、おだやかであとを引くあまさになります。
料理酒とみりんに共通するのが、アルコールのはたらきです。アルコールは水より早く蒸発し、そのときに、魚や肉のくさみのもとをいっしょに連れて出ていきます。煮ものの最初にお酒をふるのは、このためです。
アルコールは、食材の中にしみこむのも早いので、いっしょに入れた味を中まで運ぶ助けにもなります。
もう一歩
照り焼きのつやは、みりんの糖とアミノ酸が、加熱で結びついてできる膜です。さとうとしょうゆだけでも似た味は作れますが、みりん特有のつやとおだやかなあまさにはなりません。
みりんには、煮くずれをふせぐはたらきもあります。糖とアルコールが、食材の表面をひきしめるためです。じゃがいもやかぼちゃを、形をのこして煮たいときに向いています。ただし、やわらかく仕上げたいときは、みりんを入れるのが早すぎると、かたいままになることがあります。
なお、店で売られている「みりん風調味料」は、アルコールがほとんど入っていない別のものです。あまさとつやは似ていますが、くさみを飛ばす力や、しみこませる力は本みりんのほうが強くなります。目的で選び分けられます。
へぇ、となる話
みりんは、もともと調味料ではなく、あまいお酒として飲まれていました。江戸時代に、そばつゆやうなぎのたれに使われるようになり、少しずつ台所の道具に変わっていきます。飲みものが調味料になった、めずらしい例です。
身のまわりの同じしくみ
照り焼き、煮魚、そばつゆ、肉じゃが、筑前煮。和食のつやとおだやかなあまさは、たいていみりんが作っています。