塩は、料理でなにをしているの?
まず、答え
塩は、しょっぱさをつけるだけの調味料ではありません。水を引き出す、身をひきしめる、ほかの味を引き立てる、くさりにくくする。この4つの仕事を、同時にこなしています。
どうして?
塩を食べものにふると、まず表面の水にとけます。とけた塩は、水のあるほうへ広がっていき、同時に、食べものの中の水を外へ引き出します。
きゅうりを塩もみするとしんなりするのも、なすの塩水につけるのも、青菜をゆでるときに塩を入れるのも、この「水のやりとり」を使っています。
肉や魚では、水が出るときに生ぐさいにおいもいっしょに出ていきます。焼く前に塩をふるのは、味つけと、においを減らすことの両方をしています。
もう一歩
塩の量は、料理の味を決める、いちばん大きなつまみです。
目安として、汁ものやスープは、水の重さの0.6%から0.9%くらい(体液に近い濃さ)がおいしく感じられます。おにぎりの表面や肉の下味は、材料の重さの0.8%から1%くらいがよく使われます。パスタのゆで湯に塩を入れるのは、麺そのものに下味をつけるためです。
塩をふるタイミングも大事です。肉に早めにふると水が出て、うまみもいっしょに逃げます。焼く直前にふれば表面だけに効き、時間をおいてなじませれば中まで入ります。どちらが正しいということはなく、やりたいことで選びます。
ただし、塩は取りすぎると体によくありません。だしのうまみ、酢のすっぱさ、こしょうの香り、油のこくを組み合わせると、塩を減らしても満足できる味になります。うす味をおいしくする方法は、塩以外の引き出しを増やすことです。
へぇ、となる話
少しの塩は、甘みを強く感じさせます。スイカに塩、あんこに塩、キャラメルに塩。まったくちがう味なのに、となりに置くとおたがいを引き立て合います。これを味の対比効果といいます。塩は、自分が目立つのではなく、ほかの味を引き出す名わき役なのです。
身のまわりの同じしくみ
漬物、塩ざけ、ハム、みそ、しょうゆ。冷蔵庫がなかった時代の保存食は、ほとんどが塩の力でできています。